家族福祉相談室には様々な悩みを持った人が電話をかけて来る、また訪ねて来る。しかし、特徴的な事は相談者本人が自覚していない精神病を持つ場合が多い事である。ただ単に傾聴していると病気が背後にある事に気づかない。特に統合失調症の被害妄想と現実で起きている本当のいじめや被害との違いを、相談を受けるボランティアが的確に判断しなくてはならない。その為に精神科医による勉強会が定期的に行われている。そして大切だと感じた事は、たとえ相談者が病気であっても「あなたは病気で気が狂っているからそう感じるのであって、現実には何も起きてはいないのよ」と忠告する事はしない。カリタスは相談者と接する時には心強い味方であり続け、同時にその病状を冷静に分析し、相談者にとっての最善の道を選択しようとする。最善の道の選択は一人の知恵ではできない。だからこそ、インテーカー、コーディネーター、担当ボランティアという3人の人を介し、インテークミーティングで全員のボランティアスタッフが集まった場で、互いに意見を交わしながらそれぞれのケースについて最善の道を模索するのである。
教会では相談できない家族の問題を抱えた信徒さんも利用者である。ここはカトリックのキリスト教精神を反映した信頼できる相談口であると同時に、教会ではないという安心感がある。教会で悩みを誰かに相談した場合、色々な噂になったり、相談者と受ける側の関係が複雑になり教会に出入りしづらくなる場合もあるからである。信徒にとっては教会ではないけれど、教会の様に親身になって祈ってくれる人達が相談員である事が大きな安心になのである。教会は神の家族である。そしてカリタスも同じ様に教会員だけではなく、他の宗教の人にも働きかけるのである。事情があって家族に相談出来ない人、身寄りのない人、友のない人にとって家族であり、より所であり友人でもある。しかし、そこには条件がある。相談員は自分の住所や連絡先を相談者に知らせる事はしない。それは相談員のプライバシーを守る為であり、一人で相談者と関わるのではなくカリタスという組織が相談者と関わっていると言う事を明白にする必要があるからである。一人で誰かの悩み、相談を引き受ける事は相談員にとって負担になり、一人では沢山の人の悩みや相談に対応しきれないからである。
カリタスには相談者の居場所がある。それが「ひまわり」であったり、「みんなの部屋」であったり、「こども相談室」である。ひまわりには誰にも言えない悩みのある人など誰でも参加できる。みんなの部屋は統合失調症の人が中心に集まり一緒にカードや小物制作をする作業所である。こども相談室には発達しょうがい(自閉症、アスペルガー、ダウン症など)の子どもと家族が集まり、子どももそして親もしょうがいを持ちながら豊かに生活する方法を学び、また家族の負担を軽くする為にも様々な援助をしている。この様に相談者がカリタスに居場所を持つ事はその人の悩みを軽くし、理解者を増やす意味でも相談者が普通の健全な日常生活に戻れるきっかけ作りにもなっている。事実、以前は相談者であり、今は状況が回復してボランティアとして働いている人もいるのである。これらが一環して一つの「カリタスの家」となっている事はすばらしいと思った。
(M.K)



